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一級建築士事務所 Eee works

Column コラム

『住まいを考える』シリーズ健康な暮らしと住環境

2026-08-30

木造リノベーションの『初手』とは? Column437

木造リノベーションの『初手』とは?

木造住宅のリノベーションへの注目が高まっています。

建築費の高騰を背景に、『費用面のメリット』という切り口から、

新築ではなく中古住宅のリノベーションへシフトする方も多いのではないでしょうか。

しかし、本当に単なる『コスト面のメリット』だけで判断して良いのだろうか、

とも感じています。

巷では『リノベーションはブルーオーシャン』などと、安易に語られることもありますが、実務者としての実感は全く逆です。

既存建物の診断・状態判定・構造計算・温熱計画までを踏まえると、

リノベーションは、新築以上に高い知識と技術力、

そして現場経験が求められる難易度の高い仕事です。

今回はEee worksが木造リノベーションの計画において重要視している

『4つのポイント』とその初手についてお話しします。

 

■1、躯体(くたい)の健全性

最初に見極めるべきは、屋根に雨漏りの有無と、屋根を支える木造部分に

『腐朽(腐り)』がないかどうかです。

屋根の雨漏りは、建物の下階に向かって被害を拡大させます。

木材は『濡れる・乾く』を繰り返すことで『腐朽(腐り)』が進行し、

その部分の強度が低下し、構造バランスを崩してしまいます。

もし『腐朽(腐り)』が見つかれば、屋根の改修はもちろん、直下の木造構造部の入れ替えや補強が必要になります。

腐りがあるから即座に計画中止というわけではありませんが、

『その部分に多くの予算を割り振る必要がある』という現実を最初に見極めることが大切です。

 

■2、基礎の健全性と荷重バランス

木造部分の要が屋根であるなら建物と地盤を繋ぐ要は『基礎』です。

古い建物の場合、基礎の強度が不足しているケースが多く見られます。

また、木造部分の構造補強を行うと、それに連動して基礎補強も必要になります。

ここで注意しなければならないのは、

構造補強の数値クリアを優先するあまり、既存の基礎に過大な荷重を集中させてしまうことです。

地震時に特定の基礎へ無理な力がかかり、そこから破壊されてしまっては本末転倒です。

基礎の現場確認はもちろん、建物全体のバランスを考慮し、過大な力が1箇所に集中しない様分散させる計画が欠かせません。

 

■3、既存の骨組みを活かした内部計画

構造の安全性を確保した上で、日々の暮らし易さに直結する内部計画へ進みます。

リノベーションでは、既存の柱や梁の位置を前提としながら新しい間仕切りを

検討するため、いわば立体的なパズルを解く様な計画になります。

構造補強の観点と、暮らしやすさを考えた配置計画。

これが両立して初めて、建物も、日々の暮らしも健全なものになります。

 

■4、断熱計画:

    全体改修か、部分改修(ゾーン断熱)か

最後が断熱計画です。これは建物の骨組みの状況、ご予算を踏まえ

検討していきます。

Eee worksとしての断熱性能の基準は、HEAT20のG2(断熱等級6)以上が基本となりますが、

それを住まい全体に適用するか否かは、検討の余地があります。

家全体に温度差がない環境が理想ですが、ご予算やライフスタイルに応じて、

『部分改修(ゾーン断熱)』という方法も有効な手段です。

例えば、LDKや浴室・トイレを含む水回りなどの主要な生活空間を断熱区画とし

それ以外の区画を簡易の断熱仕様とする。といった手法です。

これは、気密断熱の理解と経験を要する計画ですが、ポイントを押さえれば、

『無断熱→必要最小限の断熱改修』も可能で

『重点区画と、簡易区画の共存』も十分可能だと考えています。

 

■骨組みの健全性があってこそ、情緒が生まれる

この様な理由から、Eee worksでは見た目だけを綺麗に、設備更新だけを行う

リフォームは行なっておりません。

新築であれリノベーションであれ、住まいはそこに暮らすご家族の

命と日常の暮らしを守る、『大切な器』です。

暮らしを支える確かな骨組みがあってこそ、その先の情緒があるのだと考えています。

現在進行中のリノベーション現場も、構造補強が大詰めを迎えています。

内部解体時とは、見違えるほど、構造部分は健全に生まれ変わってきました。

現場は、構造補強が完成したら、その先、気密・断熱・内部の作り込みと進みます。

着実に一つ一つ進めてまいります。

 

 

 

 

今回も長文お付き合いありがとうございました。

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