住まいづくりはもっと自由に、もっと楽しみながら出来ると私たちは考えています。快適でたのしみのある住まい作りのお手伝い。これが私たち Eee worksの仕事です。
一級建築士事務所 Eee works
『住まいを考える』シリーズ健康な暮らしと住環境家づくりのはじめに
手先の先に宿るもの-構造の美
愚直さ、そして30年の道具

建築家 ピーターズントー(ペーター・ツムトア)の
著書『建築を考える』を久しぶりに再読しています。
建築を学び始めた頃、彼の代表作である
『聖・ベネディクト教会』の、簡素でありながら神聖な空間に惹かれました。
『a+u』の特集号を買い求め、何度も眺めていた記憶があります。
木の葉のような平面に、魚の鱗のように木片を貼った外観。
内部に入れば、葉脈のような天井の骨組みを、規則正しくに並ぶ木の列柱が支えるシンプルな空間。
素朴で『ぼくとつ』でありながら神聖なその佇まいは、私の設計の一つの目標になりました。
そのズントーの著書の中に、心に刺さる一節があります。
『建築家が描く図の中で、私がもっとも好きなのは施工図だ。施工図は詳細にして実用本位である。
考案した建築に物質的な姿を与える専門家に向けたものであり、想像に訴えかけるような表現や演出から解放されている。』
■デザインとは空間を整理整頓する『引き算』である

私がズントー建築に惹かれる理由も、ここにあるのだと再認識しています。
私にとってデザインとは、装飾や付加価値を付け足すことではありません。
敷地にある魅力を際立たせるため、そして空間を通じた家族のつながりを整えるための
『空間の整理整頓』だと考えています。
カタチを生みだす過程は、足し算ではなく引き算。
余分なものを削ぎ落とした先に、目指すカタチがあると思っています。
ズントー建築もその先にあると感じながら、感動ページの端を折る手が止まりません。
■『100%の力で臨む』ことしか、できない

何かを生み出すあらゆる過程で、最も大切なことは、
常に、『どんな場面も100%の力で臨むこと』だと感じます。
これは修行時代の師匠の教えです。
手を抜いてしまうと、結果が振るわなかったときに
『実力不足だったのか』の検証すらできず、不足している部分の洗い出しもできない。
かつて師匠に『自分でできることは何か?』と問われた際、
私は『自分にできることは一生懸命にやること。それしかありません』と答えました。
そのとき師匠が返してくれた「それ以外に何もないし、それが最も大切」という言葉は、
今も建築に向き合う骨格となっています。
■手先の一部となった道具とともに、現場へ

目の前の仕事に100%で対峙するとき、手元にある道具は単なる『便利なガジェット』ではなくなります。
私たち設計者の道具は、現場の職人ほど多くはありません。
それでも、ペン先の書き味、重さ、紙のインクの乗りやすさ、鉛筆で引いたときの心地よい抵抗感はとても重要で、その馴染み具合で筆が進む場面はいくらでもあります。
実際、普段使っている道具は、修行時代から30年以上愛用しているものばかりです。
触れる部分は塗装が剥げ落ち、手の形になっているほど。
もはや、手先の一部と言ってもいいくらいの馴染みです。
これからも便利な道具は次々と出てくるでしょうし、それを否定するつもりもありません。
実際、図面に書いた文字をiPadで拡大できる機能は欠かせませんし、
打ち合わせの議事録を編集してくれるAIガジェットも必須となりました。
しかし、新しいものを次々取り入れるというよりも、『道具はあくまで手段である』
という側面を忘れずに、本当に信頼できる道具とともに、これからも現場に向き合いたい
と考えています。
今回も長文お付き合いありがとうございました。
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