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一級建築士事務所 Eee works

Column コラム

『あれこれ考える』シリーズ

2018-11-05

構造塾第1回全国大会in熊本 まとめその1 Column225

第一回 構造塾 全国大会

レビュー(大会編)

2018,11,02 熊本KKRホテルにて

 

全国で開催される『構造塾』の全国大会の第一回大会が熊本市にて開催されました。

大会には、全国の構造塾 塾生が総勢200名参加という大きな大会となりました。

 

冒頭、熊本での開催について、

佐藤 実 塾長から、

『たびたび熊本地震の現地調査に入り、構造塾の設立主旨である

”日本中の木造住宅を地震で倒壊させない!”

という想いをあらたにし、第一回全国大会は熊本の地で、との思いに至った』

との趣旨で全国大会が開幕しました。

 

まずは基調講演。結論から言いうと私が感じた事は

『住まいは誰のためのもので、我々実務者は何をすべきか』

全体に流れる大きなテーマだった様に思います。

 

では、レビューです。

 

基調講演 第1部

『燃費半分のQ1.0住宅を造ろう』 

新木造住宅技術研究協議会 代表理事 鎌田紀彦 先生

 

新住協という高性能な木造住宅を安価に作るための技術を真摯に研究する全国組織の代表理事からの講演で、

『住まいで構造を追求することと同じ位、断熱・気密の確率を”安価に”実現する事が大切。』

とのご講演でした。

 

断熱、気密には建築物理などの理論や、それを実現するための技術の追求がとても大切です。

その難しさから、敬遠され、実現されないことの不利益が住まい手にいく事があってはいけない。

そのために、

『安価で良質な住宅』

『簡単な技術と手に入りやすい材料』

で実現する。

という新住協の理念がよくわかりました。

 

高性能住宅を追求していく中で、技術的な面に関心が行き過ぎ、高価な建物になっては、普及しません。その ”普及” をとにかく真摯に追求してきたという ”矜持” を感じました。

 

基調講演 第2部 

『4号建築物に対する法規制の問題点』

  弁護士 神崎 晢 先生

 

我々木造住宅に関わる実務者は、馴染みのある法律で、

”建築基準法において 木造の2階建、平屋、他の建物は 特別扱いされている。” 

この”特別扱い”について、

何が "特別扱い" されていて、

多くの実務者がどう勘違いしていて、

この法律をどうすべきか!

 

とのご講演でした。

第1部の鎌田先生と同じく、目線は実務者の先の『住まい手』に向けられた愛あふれるお話で、

我々実務者の不勉強により、『住まい手』が不利益を受けることはあってはならない。という内容でした。

 

2年前の熊本地震、先日の大阪北部地震を始め「地震による木造住宅の倒壊」は起き続けています。

 

最近の新築住宅は『確認申請の許可を得ていない』建物はおそらくないでしょう。

しかしそれは『安全』を保障したものではない。ということです。

 

建築基準法では、先ほどの『特別扱い』の中に

我々実務者として『やるべきこと』がたくさん含まれています。

 

その『やるべきこと』を『当然やってくれていますよね』

という考え方が ”特別扱い” の根本です。

 

しかし残念ながら、それを理解しない実務者も居て、その不利益が

『安全、快適に暮らせるはずだと信じた住まい手』に向かっています。

 

その解決策の一つとして法律の ”特別扱い” を外してしまおうという事なんですが、もし、その法律の『抜け穴』を知って不作為を働く知識と行動力があるなら、『なぜ安価に良質なものを造る』という方向にその力量を使わないのか。

また、国交省も誰のためにこの”特別扱い”を見直さないのか。

 

と、なんとも残念な思いで聴いておりました。

 

基調講演 同じく第2部 

『工事監理者の役割と責任』

  弁護士 上田 敦 先生

神崎先生の 計画・確認申請を受けた後に続く『現場』でのお話です。

工事の『カンリ』には、主に現場監督が行う『工事管理』と主に設計者が行う『工事監理』があります。カンリの漢字の違いから 

 

竹の入った工事管理をタケカン

皿の入った工事監理をサラカン 

と言って区別しています。

 

タケカンの方は、現場監督さんが工事がスムーズに進む様段取りをしたり、材料が規定のもの通りか確認する。というのが主な仕事です。

一方

サラカンの方は、設計図の通りに現場が進んでいるか監督する。というのが主な仕事です。

 

我々、設計実務者はほとんどこのサラカンの方ですが、その監理がキチっとできていない事で、不利益を被るのも『住まい手』

 

上田先生のお話も、第1部の鎌田先生、第2部の神崎先生と同じく、我々実務者のやるべきことを再度明確にして

『住まい手』の当然の利益を守ろう という内容でした。

 

我々、設計実務者に求められることは 計画、計算、監理 を始め実に多く、しかしそのどれが欠けてもならない。

ということなんですね。

 

自動車は約3万点の部品から1台の完成車ができているそうです。

その1パーツでもなければ完成せず、どの部品も不良品があってはならないわけです。

 

住まいも同じで、監理者(管理者)がその部品がキチッと計画・施工されているかを確認する。ということの重要性を改めて認識しました。

 

いずれも私が基調講演を通じで感じた

『住まいは誰のためのもので、我々実務者は何をすべきか』

ということに通じており、気の引き締まる公演聴講となりました。

 

この後構造塾の別ルート『省エネ塾』の発足発表を始め大阪北部地震、台風21号被害報告、などなど、盛りだくさんで進みますが、文字数多すぎ(汗)で、今回はここまで。

 

続編書きます。そして続編の懇親会編、熊本リレーマラソン編も面白いです。

真剣に住まい作りに取り組む人たちは、遊びも真剣!

次回まとめます。

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