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一級建築士事務所 Eee works

Column コラム

『住まいを考える』シリーズ植栽・外構計画

2018-10-16

借景窓とはどういうものか。 Column220

借景窓を考える。

これから秋も深まると、各地で『紅葉』が始まってきます。

京都のお寺も美しい紅葉を眺めにたくさんの方が、訪れます。

庭先で色づいた木々や、通りの両側に連なるイチョウ並木、その景色を求めて人が訪れるのも納得の美しい景色です。

 

中でもその様子が窓の中にすっぽり収まり額縁の絵の様に見える様を

『借景窓』『ピクチャーウィンドウ』などと言いますが、紅葉した景色が窓を埋め尽くす様はため息の出る様な景色です。

 

さて、その『借景』とは どういうモノ なのでしょうか。

 

庭園外の森林などの自然物等を庭園内の風景に背景として取り込むことで、前景の庭園と背景となる借景とを一体化させて景観を形成する手法。

(一部略)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 

視線の先にあるものを、そのあるがままの姿、見た目だけお借りして、自分の庭の様に見立ててしまおう。ということですね。

そして、これの窓版が、『借景窓』『ピクチャーウィンドウ』だと言えます。

 

私も窓周りの豊かさを考える時この『借景』をよく考えますが、、、

 

その前提となる、『庭園外の山や森林などの自然物等』は一般的な住宅敷地ではそうそうお目にかかれません。

もし、その様な景色があれば、それは取り込まない手はないのですが、

区画された住宅地ではほとんどありません。

では、そんな敷地に巡り合うまで、待つしかないのか。

いいえ そんなことはありません。 

『なければ作る』

という手があります。

住まいの中で唯一外が見えるのは『窓』その窓周りの

ちょうど良い位置に植栽で、小さな景色を作りましょう!

 

建物の周りは、多くの場合、建ぺい率や工事範囲の関係で少し隙間が空いています。

その部分に植えていけば、小さな景色を作ることが出来ます。

 

もちろんマンションでも可能です。

ベランダに鉢植えの植栽、紅葉する木も大丈夫です。

(鉢によって大きさは限られますが)大きさも一定でなく、大小織り交ぜて、また紅葉するものとしないもの。紅葉の色も様々です。

樹木は、たくさん種類があり、日光が大好きな木もあれば、直射日光の当たらない明るい日陰を好んで育つ木もあります。

なので、ご安心を!

日が当たらない場所にはそこに適した『木』があります。

むしろそちらの方が、日の当たる場所の力強い枝ぶりよりも

『可憐』な印象の樹木、花は多く、それらを好んで植えたいとおっしゃる方も多いくらいです。

最近では、すっかり定着した『シマトネリコ』は、常緑でありながら、サラサラとした葉、細かい枝ぶりが人気となり一気に広まった樹種ですが、日陰を好む樹木は、シマトネリコよりも更に、細い枝にサラサラと薄い葉が付いているものが多いです。

ハイの木なんかが代表的です。

(※注 シマトネリコは元気が無くなった時一気に落葉して復活しようとすることがあります。)

 

窓の外で、ゆらゆらと葉がゆれ、春には芽吹き、夏には窓を緑が埋め、秋には紅葉して

1サイクルを終える。

コレが、『庭』というほど本格的なものではなく、

亀岡の家

『窓のための小さな景色』

として日々の暮らしに加われば、それは豊かではないか。そう考えます。

 

そして、『借景窓』のもう一つの重要なこと。

借景窓を考える際の大前提。その窓が高性能で、寒さ、暑さを遮断してくれるものであること。

これは、必須です。そして、窓の前に落葉樹を植える理由は、もう一つの大きな理由があります。この辺は、長くなったので、また次回。

 

長文お付き合いありがとうございました。

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