住まいづくりはもっと自由に、もっと楽しみながら出来ると私たちは考えています。快適でたのしみのある住まい作りのお手伝い。これが私たち Eee worksの仕事です。
一級建築士事務所 Eee works
『住まいを考える』シリーズ健康な暮らしと住環境家づくりのはじめに植栽・外構計画
祝竣工 南あわじの家
これまでの住まいのなかで、お引き渡しまで最もお時間を頂いた住まいです。
2020年の3月にご連絡をいただき、『現在この敷地を検討中です!』の段階でのご相談でした。
特殊な敷地ということもあり、香川への帰省も兼ね、往路と復路の2回
朝と夕方敷地確認に伺いました。
北下がり斜面の敷地で敷地の先に瀬戸内海が広がるロケーション。
いわゆる絶景敷地です
現地確認後の住まい手へのご報告が
『ここでの建築が良きものになる!』とワクワクしている様子が
今読み返しても、良く分かる内容で最終的な建物にも通ずる内容でしたので、
こちらに原文のまま掲載します。
朝:
とても静かで、眼下に瀬戸内海を望む絵画の様な景色でした。素晴らしいロケーションだと思います。
ぜひ、この景色を取り込む様な位置、高さに窓を設けてみたいと思いました。
海は北側ですので、背に陽を浴びる形で海を見る様になり、日射は、南で取得し北は日射の影響を受けない大きな窓が設置できると思います。
景色は敷地の高い位置でよく見えていますので、建物は南に寄せた方が、よさそうですが、
その場合、庭、プールなどは北側に設置となるか。ここは要検討です。
懸念点としましては、
昨日は、快晴、無風でしたが、風雨が海側から吹き上がってくると思われますので、その対策は必要と感じました。
行政調査ができておりませんが、周囲建物が浄化槽の様でしたので、要確認です。
敷地の傾斜は、思ったよりきつかったですが、基礎工事は通常工事とはいきませんが、
特殊工事というほどではないと感じます。(地盤調査、構造設計により最終判断が前提ですが。)
夕:
西日の具合を確認に行きましたが、残念ながら隣地建物に隠れ、日没は見れない様です。
季節ごとの日没位置を確認しましたので、ご確認下さい。写真の半円状の軌道が月別の太陽の動きで、赤丸が日没点です。
太陽に照らされる凪の瀬戸内海はやはり綺麗でした。
感想の様な、現調報告ですが、敷地としては、とても魅力的でした。
本当に感想文のような現調報告ですが、ワクワクしている様子は、読み返してみて感じます。
私は敷地に向かい
そこで『何を感じるか』
を大切にしています。
しばらくそこに居て『見えるもの・感じるもの』から
『周囲との関係でここにどのような建築がふさわしいか』
『どこに・どんな窓が最もこの敷地の良さを取り込めるか』
などから、ボリューム・オモテとウラ・窓の開け方を想像してゆきます。
その様子がありありと想像できた様子が、この感想文のような現調報告に
なったのだと思います。
その後現調に基づき作成したラフプランがこちら
大きな修正なく、微調整を加えながら基本PLANは完成しました。
ファーストPLANの段階では私も住まい手もここでの暮らしの様子、ゲストを迎えた時の様子が
想像でき、良いイメージでの計画スタートとなりました。
しかし、ここからが試練でした
敷地は、大きく木が茂っていたとこもあり、ファーストプラン時点では
簡単な測量を元に計画していましたが、基本設計に向けて
正確なレベル測量をしたところ敷地の最大高低差が『6m』しかも2方転びという
北面に下がりながら西から東へも下がる。 という敷地。
これは、なかなか手強い敷地です。
その敷地形状を解決する方法は、いくつかあると思います。
1、敷地全体を造成して平らな敷地を作り 平らな地盤に建築する。
2、基礎で傾斜を克服し土台から上部は通常建築と同様の建物を作る。
(周辺もこれが最も多いです)
3、敷地の傾斜なりに基礎を階段状にし、床も階段状に作る。
(スキップフロアです)
結果は、”3”の敷地の傾斜なりに基礎を作り床を階段状に作りました。
理由は色々とあります。
1、擁壁造成工事に多額の費用がかかりすぎること。
また造成直後の地盤は安定せず不動沈下の恐れがあること。
本来のゴールである建築本体に費用を特化し、先の危険度を少なくしておきたいので
この選択肢は、なし。
2、南から北に向かって下がる土地で南側に敷地の余地がない場合これでいいと思います
しかし、南側余地が大きいため、地盤と床面の”はなれ”が大きくなりすぎる。
3、2の地盤と床面の離れ具合が、1階分 程度かつ基礎のコンクリート量が
2に比べ、かなり軽減できたことにより
3としました
計画途中、基礎工事費用に悩まされ、ウッドショックによる木材高騰に悩まされ、
何度も計画を調整しました。
しかしその間住まい手は、
一貫して『待ちます』
とお声かけくださり
何度も、手詰まりか、、、と思ったところから再度進んできました。
通常であれば、『もう待てない』と言われても仕方ない時間軸でも、本当に
信じて待ってくださっているというお声かけと気持ちに
なんとかお答えしなければという気持ちでした。
施工者に、同郷香川県高松市の 熊本工務店さんを
同じく同郷の高松のプランリーブル高岡さんにご紹介いただき、
南あわじの家を完成させる チームがきまり、ここからが本当のスタートとなりました。
紆余曲折を経て、ようやくこの日を迎えた
地鎮祭が2022年8月
仕上がりの様子をMODELで確認
2022年10月着工
ようやくここまできました。
この時点で、施主様に感謝しかありません。本当にありがとうございました。
ここまで実に2年半。初めましてからスムーズに運べば1年程度でお引き渡しという
標準スケジュールからは非常にお待たせすることに。
本当にお待たせいたしました。
着手したのちは、熊本工務店さん徳島の大工 たかてるさんが中心となり、現場が進行。
敷地内の全ての雑草・木を撤去し敷地が露わになり始めてその傾斜を目視しましたが、
やはりかなりの傾斜です。
ここでも、最大のテーマである北傾斜の先の景観(海)とのつながりチェックです。
きつい傾斜も地元の基礎工事店さんは慣れたもので、基礎下の地盤改良も大変美しく、
また、何度も確認していた、北窓を型枠材で、再現してくれました
ありがとうございます。これには、施主・設計・施工のteam南あわじ全員の
期待感がグッと上がりました。
過去1番の美しい配筋で 複雑な基礎も型枠まで組み上げてくれました。
世の中は、まだまだマスクの手放せない時期で、屋外でありながら非常に辛い時期でした。
複雑な基礎形状も、間違いもなく綺麗な打設で仕上がりました。
いよいよ建て方 順調に進み、ようやく1階の床面2階の床面から瀬戸内海の眺めを
確認いただけました。
team南あわじ 安堵と少々の達成感の表情です
上棟おめでとうございます
その後は、定例打ち合わせをおよそ2wに一回のペースで積み重ね、おおむね順調に
現場は進行です。
通常通りの雨養生もバッチリです。当初の現地確認時 懸念していた海からの吹上の風
にシートがたわみ 悩まされていた頃です。
この頃まで来ると、断熱工事も完了し後は外壁仕上げを貼るのみ という時期です。
窓も設置完了して 部屋内からの景色が完全に確認できるようになりました。
足場も撤去され、いよいよ完成に向けてラストスパート
実は、ここまでお待たせしてしまった物件であったため、何かお礼の形で、、ということで
team南あわじの顔写真入りどら焼き
を作り、お配りすることに。
前日、事務所で、 Eee どら焼き の包装紙を作り、当日現場搬入。
実は現場進行中、『デッキで乾杯!』が合言葉になっていました。
そのためにどうせ乾杯するなら、、ということで、ジョッキも特性で製作しました。
大変喜んでいただき、特製ジョッキで、ノンアルビールでデッキで乾杯!
本当にお待たせした『南あわじの家』ここで一旦お引き渡しとなりました。
本当に、大変お待たせしました。
お引き渡し後は、その様子をお伝えいただき
北側大開口でありながら、トリプルガラスの開口部は寒さもなく、
快適とのお話に安堵。
お正月 南面日射取得窓の外付けブラインドを下げずに数日留守にされ、戻ってみると、
室温28度、、、。
というエコハウス独特のエピソードもありつつの越冬となりました。
お引き渡しが、真夏であったため、外構と植栽工事を春に持ち越し、今年の春施工。
ようやく、全てが完了し、竣工写真撮影となりました。
ちょうど、一年前の昨日 2023年8月9日がお引き渡し日。
そして、一年後の今日 この祝完成・南あわじの家のコラムを書いている というのも
何かの巡り合わせなのだと思います。
この一年の間、南あわじの家を 大満喫していただいている施主様より、
折に触れ いただいた写真は、設計者としては本当に嬉しいものでした。
Click👆 Column318
瀬戸内海に沈むサンセットをデッキからビール片手に眺められる
春に植えた百日紅(さるすべり)が窓を薄桃色の花で埋めはじめました。
本当に施主様・施工の熊本さんたかてるさん大泉さん ご紹介くださった高岡さん
なしでは完成しなかった住まいだと思います。
ありがとうございました。そしてこれからも宜しくお願いします。
いつの頃からか、住まい手との間で生まれた『南あわじの家』を形容するこの言葉で、
この建物の設計者に指名していただいたお礼に変えさせていただきます。
『 控えめに言って 最高です! 』
今回は、特に特に
長文お付き合いありがとうございました。
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