住まいづくりはもっと自由に、もっと楽しみながら出来ると私たちは考えています。快適でたのしみのある住まい作りのお手伝い。これが私たち Eee worksの仕事です。
一級建築士事務所 Eee works
『住まいを考える』シリーズ健康な暮らしと住環境
ヘーベシーベの魅力
Eee worksの計画で、よく登場する大きな木製サッシ
へーべシーべ
Heben(持ち上げる)+ Schieben(滑らせる)
うちとそと の繋がりをダイレクトにつなぎ、気持ちの良い中間領域を作るために
とても有効なサッシです。
南あわじの様に敷地の先に絶景がある敷地の場合、大きく開口することでその景観を
リビング内に取り込むことができ、開放感がこのサッシならではという空間が生まれます。
開放感・繋がり感については説明不要
ですが、その大きさから少し気を付けておくこともあります。
なにせフルオープンにした場合の開口が大きく1枚の障子が縦横2mを超えることもあります。
これまでの計画で最大寸法は開口寸法4m高さ2.2mなので、1枚の障子は4m2以上。
しかも、ガラスは少なくともペアガラス 多くはトリプルガラスを使用しています。
大きなガラス面は
気持ちがいい反面 結露と暑さ・寒さが酷すぎる、、、。
そんなことでは、魅力ではなく、単なるリスク。それはできないので、ガラスは
(写真は、エクセルシャノン 樹脂窓です)
少なくともペアガラス。可能な限りトリプルガラスとなります。
結果として一枚の障子の重量は100Kgを超えることもあります。
その障子を『軽々』とは言いませんが、スムーズに動かせる機構。
そのサッシをヘーベシーベと言います。
ヘーベシーベとは、ドイツのGU社が開発したスライド扉のシステムで、1958年に
初めて登場した様です。
木製サッシ業界では、『GU』といえば、窓金物で有名なメーカーです。
そのGU社が、今から66年前に発表した機構。
名前の由来は、窓システム金物専門のMSH株式会社さんのHPによると
ドイツ語のHeben(持ち上げる)+ Schieben(滑らせる)という意味。 障子を持ち上げ、レールの上を滑らせるという構造そのものを表しています。英語圏でもその構造を表してリフト・スライドと呼ばれていますが、日本ではG-Uオリジナルのまま、ドイツ語の名称で定着しています。
と紹介されている通り、ハンドルを回して障子を浮かせることにより戸車が機能し
障子を開閉することができます。
ハンドルを回す際は、少し重さがありますが、ハンドルは『てこの原理』で端を持って
回せば 女性でも回して、開閉が可能です。
その障子の重さからもう一つの特徴外に出る扉では当たり前の
『鍵がありません』理由は、
障子自体があまりにも重く、ハンドルを回して障子を降ろしてレールに密着すると
その重量で、全く動きません。何せ、設置の際は、大人数人でてようやく設置ができる
というものですので、少々押したくらいではびくともしません。
なので、鍵がなくともハンドルを回して障子を降ろしてしまえば、鍵の代わりとなります。
とはいえ、その重量にだけ頼っているわけではなく、完全に閉めてハンドルを回すと
金物が、フックにかかる仕組みになっていて障子が枠に引きつけられる仕組みになっています。
その引き付けが重要で、それにより障子と枠が密着し障子を持ち上げない限り
動くことはない。ということで鍵が必要ないのでしょう。
また、このフックにより引きつけられることで、『気密』が取れる仕組みにもなっています。
ただし、『ヘーベシーベは気密は少々苦手ですよね』と考える方が多いことも事実。
引き戸で障子が浮き上がり移動する構造上、移動するためにクリアランスが必要で
どうしても、気密を取るには不利な機構といえます。
閉めることで、障子が枠に4方ともぴったり密着する開き戸に比べるとやはり劣ります。
ただ、これまでヘーベシーベを採用してきた建物で気密処理をきちっとしてきた中では、
少なくとも0.5㎠/m2は確保できていて、直近の箕面の家では、ヘーベシーベを2本隣り合わせで採用している建物ですが、
気密性能は0.2㎠/m2
これだけ取れていれば、気密性能的には問題ない数値です。
この性能値を出すためには、サッシ周りその他の施工が丁寧であったことが重要な理由ですが、
サッシ単体としての気密性能としては問題なしと言ってもいい様に思います。
魅力を生み出すためにとてもいい仕事をしてくれるへーべシーべ。
気密性能も、問題ないとくれば、ぜひとも採用したいところですが、
やはりそれだけ大きなサッシなので、お値段は少々高め。
魅力とのトレードオフで検討する価値は十二分にあります。その魅力を中心に
他の部分をスリム化させることで、計画の方向性がより明確になる。ということかもあると思います。
最後に一点。これは何件か採用させていただいた物件で、後から調整が必要な箇所があります。
それは、網戸との隙間。
そもそも、ヨーロッパ発祥のサッシで、ヨーロッパには元来網戸の文化がないらしいです。
私も、ドイツのバウというサッシの見本市に2015年に行きましたが、
高性能を競うサッシは多く展示されているものの、その多くは網戸がない。
窓を開け放して過ごすという習慣がないのか、いやそんなことはない。
しかし、ネット上にも『海外網戸ない』で検索すると、網戸がなく虫に刺されまくり!
というページが大量ヒットします。
網戸が美しくない! 虫が気にならない!との理由らしいです。確かに網戸は美しくないし
もう少し、かっこよくできないものかと思いますが、なしでいい!とは思えない。
で、ヘーベシーベに話を戻すと、この網戸隙間問題がやはりありまして、
ここは後から我々による『何かしらの対応』が必要になってきます。
ここに一工夫ができれば
最高のサッシと言える窓だと思います。
長文お付き合いありがとうございました。
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