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一級建築士事務所 Eee works

Column コラム

『住まいを考える』シリーズ住まいのエネルギー健康な暮らしと住環境

2023-06-03

住まいの性能→気密測定編 Column 271

住まいの性能→気密測定

建物の性能を示す数値は、色々とありますが、

その多くは、設計段階で検討し決定可能な数値です。

耐震等級・耐風等級

設計段階で建物の耐震性、耐風性能を基礎や柱・梁の位置や大きさ。

壁の位置・数量を適切に配置し、その計画で問題ないか構造計算して確認したもの。

よって、計画・設計段階で定まる数値になります。

 

断熱性能

こちらも計画段階で、どのような断熱材を何ミリ詰めるか。

サッシの種類、設置場所はどうするか。日射を取り込むためには、どの位置が良いか。

また遮るためには何を使うか。

など、こちらも設計計画段階での設定となります。

 

省エネ性能

こちらも計画段階となります。車と同じで、元々燃費の悪い車で省エネ???

それは、難しいですよね。燃費が悪いなら買い替えをご検討。

これが省エネ化への道となるかと思います。

それと同じで、住まいも燃費の良い住まいである事が、省エネに直結します。

燃費がいいとは、寒い時期・暑い時期にその気候気温に室内があまり影響されず、一定の温度感であること。

その住まいを更に温度調整するときに、わずかなエネルギーでちょうどいい温度感になるとき

使うエネルギーは、わずかとなり、それを省エネですね。と言ってます。

 

エコカーと同じです

燃費性がいい車と悪い車。

同じ距離を走りました。 どちらが燃料を多く使いますか?

全くこれと同じです。

なので、この省エネも、設計・計画段階がキモ。

使い方をいくら工夫しても、残念ながら焼け石に水。。

 

耐久性

こちらも実は同じで、設計段階で決まると言っていい性能。

壁や、屋根は実はその内部に通気層という空気の通り道があります。

屋根・壁の表面は、真夏には70℃にもなり、冬季は0℃近くになります。(近畿地方)

屋根・外壁の直下は最もその影響を受け、かなり温度変化します。

無理やり人に例えると、ウィンドブレーカーを年中着ている状況です。

その下は、汗をかくこともあるし、季節によっては寒くもある。

最近は、便利な『空調服』なるものがありますが。

その影響を空気を流すことで、汗を溜めずに放出している。そんな状況です。

(やはり、ちょっと例えが強引。。。)

それがないと、汗が溜まり、次第に腐っていく。

 

屋根であれば、30ミリ以上。壁は18ミリ以上。

いずれも通気・換気層を設けて湿気が溜まらない様、逃げ道を設けています。 

よって、こちらも設計・計画段階がキモ。

 

そして、このいずれも、設計計画段階で考え決めたことが正確に現場で施工されることが

最も重要で、それがなければ、まさに絵に描いた餅。

全くと言っていいほど、耐震・耐風性も・断熱性・省エネ・耐久性も性能が出ません。

むしろ、一部キチッと施工できていて、一部できていない状況があれば、

 

できていない場所に、悪い影響が集中する。ということが起こる可能性も。。

よって、現場施工って住まいの性能を発揮するために、非常に重要になります。

我々設計者も、その施工状況が、設計通りに進んでいるか、また設計段階では、決めきれない部分を現場で都度再確認しながら進めていく。

こんな監理をしながら現場は進んでいきます。

 

そして、住まいの性能で、現場施工レベルによりほぼ決まるものが、

気密性能

こちらは計画・設計段階でシートなど、気密性能を担保する部材は決定しますが、

その性能はほぼ現場施工で決まると言ってもいい。

 

気密性能とは、室内の空気・水蒸気を壁の中に侵入させないよう、また外部から壁の隙間を通じて、隙間風が入らないようにバリアするためのものです。

 

この気密性能が取れていないと、

冬、室内の暖かい空気が壁の中に侵入し、冷まされ壁の中で結露。。

夏、外気が隙間風として室内に引っ張り込まれる際に冷房の効いた室内との境目。

壁の中で結露

 

この壁の中で結露が最も問題で、この結露は、窓表面の結露と違って、普段は見えません。

その見えない結露が、壁の中で進行している。

その結果、柱・梁が腐っていく。また断熱材も水に濡れることにより、その性能を

発揮することができなくなります。

これが気密性能が取れていないことによる、最も大きな問題です。

 

なので、その気密性能が予定通り取れているか。部分的に抜け漏れはないか。

これを確認するために

『気密試験』があります。

一般的には、高気密と言われる数値は、1㎠/m2

1㎡の中に、1センチ四方の穴が空いている以下の穴しか空いていない。

ちなみに、Eeeworksの最近の平均は、0.22㎠/m2

気密性能は、小数点以下第2位を繰り上げするため、正確に書くなら、0.3㎠/m2

(あくまで平均値なので、0.22と書いておきます。)

1m✖️1mのシートに1センチ✖️0.22センチ

ほどの穴が空いている程度。

 

この気密試験は文字通り、気密施工のテスト!

シートの重ね具合、テープの貼り方、配管など貫通している箇所の穴が塞がれているか。

これを確認するための試験です。

室内の空気を機械を使って1箇所から抜いていきます。

室内のシートは、空気が抜かれていくと室内に向かって膨らんできます。

密閉された布団パックの空気を抜いて

真空パックするようなイメージです。

(そんなに強く引きませんので、布団圧縮袋のようにはなりませんが、、)

 

その布団パックに穴が空いていたら、口が開いていれば、いくら空気を抜いても真空にはなりません。

 

住まいの場合、

1、壁に空気を出入りさせないこと。

2、換気を設計した位置から適切に行えるようにするため。

 

この2点のために気密性能を上げていきます。

耐震性を発揮するために、柱・梁が腐らないことは必須で、

断熱性能も同様です。

気密が取れていて、壁の中で結露が起こらないことがその性能を発揮するためにとても大切なことになります。

 

そして、それら適切な施工を担保するために、実は最も重要なことがあります。

むしろ私たちは、ここをかなり重視しています。

現場のチームワークです。

現場の雰囲気が良い!笑顔がある! これはとても重要です。

『現場は生き物』だと常々思っていますが、

雨や風。暑い日、寒い日。

重いものや危険なもの。

 

現場には、本当にいろいろなものと状況があります。

そして材料を使い状況に向き合い施工しているのが、職人であり

 

その前に『人』

 

体調や気分もあります。

プロなので、そこに左右されてはいけないし、皆そんなことはありませんが、

やはりそこは『人の子』

 

皆 いいチームワーク、色々と相談できる、ときには冗談も言いながら仕事ができる。

そんな雰囲気は、現場をいい方向に向かわせます。

 

猫可愛がりではなく、信頼と協力が現場に対するプライドと自信を生むのだと思います。

必ずそうなるよう、日々精進してまいります。

住まい手の皆様。

施工に携わる人たちの表情や言葉掛けを見てみてください。

笑顔はありますか?どうですか。

いい現場は皆、表情が気密の取れたシートのように、

ピシッとしています。

 

長文お付き合いありがとうございました。

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