手仕事で創るPLAN

ラフプランを作っています。

プランを考える時、私はパソコンではなく手を動かして、形を眺めながら作っていきます。

使う道具は、スケッチブックと６B以上の太い鉛筆と色鉛筆。

そして、肌色の『カタマリ』←そう、板状断熱材です。

まずこの板状断熱材をヒートカッターという電熱線で発泡ウレタン材を切る道具で

カットして住まいのボリュームを出していきます。削り出す様なイメージですね。

この段階では、中のプランはまだ考えていません。

いろいろ切り貼りしながら形を検討していきます。

近隣建物の状況、日当たり、どのあたりに

この住まいの『オモテ』を持ってくるか。

『ウラ』動線はどこに取りまとめるか。

『ここに座って眺める庭はどの様に見えるか』

『この辺りから眺める植栽はどう見えるか』

また、『近隣からの目線はどうか』

など

その様なことを考えながら、周囲に対する開き方・閉じ方（囲われ感）を検証しています。

その後、初めて内部プランの整理を始めます。

『形を決めてしまって中のプランは収まりますか？』

と聞かれることもありますが、

模型で検討している時点で、内部プランもおぼろげにイメージ出来ているので、

形が与えられたものに、イチからパズルの様に嵌め込んでいくわけではありません。

住まいの内部も『オモテ』の空間と『ウラ』の空間があり、その位置をおよそ形を考えながら

整理しているので、考えた寸法に間違いがなかったか、確認する様な意味合いで

プランを書きます。

もちろん、プランを書く段階で、どうにも収まりが悪いこともあります。

その場合は、プランから形を修正することもありますし、

修正した形から、プランを更に修正することもあります。

その繰り返しで、プランが磨かれていく。そんなイメージです。

しかし、その後の実施設計などは、もちろんパソコンを使って図面を書きますし、

スピードも圧倒的にその方が早く、図面の修正もコピーも早い。

しかし、どうもこのプラン作りだけは、

パソコンではどうにもアイデアが浮かびません。

元々手書きで設計を覚えたということもあるのでしょうが、

おそらく、それだけではなく、手を動かすことで脳が刺激され、アイデアが浮かぶ。

ということだと思います。

そして、そのツールが私の場合、模型が最も適している。

おそらく、それは修行時代サラサラとスケッチパースを書く師匠や兄弟子を尻目に

どう頑張ってもそんなスピードで何枚も勘所を押さえたパースが書けない私が、

『模型なら１体で色々な角度から検証できる！』

と模型に傾倒していったのだと思います。

修行時代は本当にスケッチパースが苦手でした。

加えて

そもそもの話、私の家計は『職人』が多く、父は鞄職人、弟は家具職人、親戚に船大工。

そんな家系なので、昔から家にさまざまな道具は多く、父の仕事場の作業台や棚も手作り。

私も、犬小屋。部屋の棚、本棚は自分で作りました。

道具を使い始めた頃は、ノコギリで手を切り、小刀で削った木のトゲが刺さり、絆創膏とオロナイン軟膏が欠かせない小学生でした。

当時は、設計図もなく作りながら考えていくスタイルで、作りながらゴールの形が進化していく。

そんな作り方でした。

それがものづくりの原体験となっているのだと思います。

手を動かし、形を掘り起こし、次第に形が決まっていく。

大工さんの手仕事で生まれた空間に温かみがある様に、プランも手を動かして作っていきたい。

そう思います。

ガリガリ　コーヒーミルを回しながら、切り貼りした検討模型を眺めていますが、

今回のPLANは結構いい感じに煮詰まってきている気がします。

暖かい住まいになればいいなと思って更に煮詰めてまいります。

長文お付き合いありがとうございました。

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