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一級建築士事務所 Eee works

Column コラム

探訪記

2015-07-05

建築探訪2 吉田流数奇屋建築 Column20

少し前になりますが、久々の建築探訪です。
 
旧猪俣邸(現:成城5丁目猪俣庭園) 
設計:吉田五十八
構造:木造平屋建て
築年:S42年 増築S57年
所在:東京都世田谷区

近代数奇屋建築の代表 文化勲章受賞の吉田五十八氏 設計による旧猪俣邸です。

敷地は約600坪 木造平屋建て約110坪として昭和42年に建築され、昭和49年吉田氏没後
当時の担当者により書斎が昭和57年に増築されたそうです。
居間、夫人室、和室から、それぞれ見え方が異なるように庭園が設計され、低く抑えられた屋根・庇、開け放てる開口から庭園と一体化する建物でした。


まずは門。
装飾の類は無く、繊細な線で構成された門構えです。


玄関前から門の見返し。
敷石を数段上がり玄関に進みます。曲線的に配された石、植栽が、寸法以上の奥行きを感じさせます。


居間から庭園です。
庭園と繫がる・魅せるための空間で、ガラス戸、網戸、雨戸は全て戸袋に引き込まれます。庇は低く室内は照明が少なく、庭園からの光を印象的に感じます。北の中庭の開口部も開け放つ事が出来、風の抜ける自然を感じる空間でした。

居間の北側、食堂に面した中庭の敷居です。
敷居のコーナー部分ですが、居間から建具の小口が見えない様に、敷居の溝位置、建具の框幅が調整されています。建具同士の当たりの部分は、戸先を留め切り(斜めにカット)されていて、魅せ方と機能の両立を感じました。


食堂の床材です。
壁際の床材は全て45度でカット、すっきり納まって居る様に見えますが、実は正方形の部屋ではありません。際の収まりが全てこう見えるように、寄木を1枚1枚寸法調整しています。。 施工は大変だったでしょう。。。


夫人室へ続く廊下からの見返しです。
土壁の仕舞は塗り回し、欄間は立て格子、極力装飾を無くし、繊細に見せる事を重視しています。


二室ある茶室の来客用の茶室前の水屋です。
窓 の面格子ですが、20ミリ弱の木材が使われています。また、写真はありませんが、玄関から茶室への廊下にも同様の窓・面格子があります。ここは外部(施錠 的な外部)に面しており、防犯の面から格子の木に鋼材を埋めているそうです。魅せ方を重視しながら、機能も両立しています。


来客用の茶室は又隠(宗旦作)の写し。
躙り口他の開口寸法が大きいのは客人が庭園を楽しめる様に、無理無く通れる様にとの事だそうです。
土壁は土の中の鉄分が表面ににじみ出て下地の木材の影を映し出しています。

全てにおいて魅せ方を重視しつつ、機能的な面も満足させる空間・納まりでした。
満足に時間がない中での見学で一部見れなかった部分もあり、再訪したい建物の一つとなりました。

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