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一級建築士事務所 Eee works
探訪記
建築探訪 | 村野藤吾
グランドプリンスホテル新高輪
(旧新高輪プリンスホテル)
設 計:村野 藤吾
竣 工:1982年
規 模:客室数 約900室
品川駅前でグランドプリンスホテル高輪 、ザ・プリンス さくらタワー東京と共に高輪地区の同一敷地に位置する3つのホテルの1つ。
村野藤吾の晩年の代表作で傑作の1つとされる。 (Wikipediaより一部抜粋)
村野藤吾には、「同じスタイルは繰り返さない」という話もあるように、作品全てに共通する様なわかりやすい特徴が少ないとも言われています。
村野作品は、全国に現存しますが、『新高輪プリンスホテル』(私たち世代はこちらの方が馴染みがある。)はその中でも、『有機的な造形とディテール』という村野藤吾らしい特徴が多い作品だと思います。
特徴的な造形1「円型のバルコニー」
アイアンレリーフを壁面に使いそれを連続させ壁面を構成。アイアンレリーフは村野藤吾作品の「特徴」と言っていいと思います。
特徴的な造形2 「国際館パミールのバルコニー周り」
特徴的な有機的造形は、自然界に存在するものから着想を得ていたそうです。とある散歩の途中で、見つけた『水たまり』の形をスケッチし、そのまま照明器具に生かした。という話を聞いたことがあります。
特徴的な造形3 「地下駐車場の排気塔」
こちらも特徴的な有機的造形ですが、その曲線に丸型タイルが貼られていることも特徴的。他の村野藤吾作品でも曲線+丸タイルの手法は見られます。
特徴的なディテール1 「窓周りの角のRタイル」
『角は丸く。丸く』という村野藤吾語録は有名です。その特徴があわられた角だと思います。そして 「竹割タイル」というには大きなおそらく特注の局面タイル
特徴的なディテール2 「手すりのアイアンワーク」
3次元曲線のアイアンワークの手すりも大きな特徴の一つです。これにアイアンレリーフ、断面は丸タイル貼りという特徴的な造形です。
特徴的なディテール3 「客室前の外灯と門扉」
アイアンワークの門扉、その中にアイアンレリーフをあしらっているという2つの特徴的な造形です。
特徴的なディテール番外編 「ドアハンドル」
通称「ベロ」村野藤吾作品で私はこのハンドルを知りました。ドアとの隙間寸法が、2種類あり、隙間の大きな方は、非常に使いやすい。 もしかしたら、廃盤になっているかもしれません。
最近どこのカタログにも見かけなくなりました。
いずれの特徴的な部分も、CADが大きく普及していない時代におそらく全て手書きと手計算で3次元の曲線の設計と、それに合う様にタイルの割り付けなどを計算していたのだと思います。
それは、CADとパソコンで製図、計算する現代からすると恐ろしく時間のかかる、そして胆力のいる作業であったと思います。
それだけに、その図面の作図過程で何度も検証し、『想いが固まっていく』ということもあったのではと思います。
そして、それが建物のパワーとなり、見るものに『建物の迫力、雰囲気』として伝わるのではと思います。
私は、『手書き』で図面を覚えたおそらく最後の方の世代ではないかと思います。
その世代だから、実務的にはほぼ手書きをしなくなった今も、この様に手書きを前提とした感想を持つのだろうと思います。
これは、悪いことではなくて、
自分だけの感覚としてその感覚、ルーツを自分だけの感覚として大切に今後も精進していこう。
そう思える非常に豊かな時間でした。
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