建築感を感じる旅 オランダ編 20150121〜22
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1月21日から28日のオランダ、ドイツの建築視察記です。
旅の最初の目的地はオランダ アムステルダム。オランダは面積が九州と同程度で、人口は
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1650万人と九州の1.2倍程度と小さな国です。国土の約26%が海面より低く、多くの建物が
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これに位置し、風車は水害との戦いの歴史でもあります。(現在は記念日のみ可動しています。)
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中心部の旧市街はアムステルダム中央駅を中心に17世紀頃整備された運河が網の目状に
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流れています。町並みはこの運河に沿って形成され、今も当時の建物が修復、改装されその
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の姿を今に受け継いでいます。この運河と建物の関係は特に夜美しく、統一された色温度の
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外灯、建物の光が運河を照らし,町並みが映る様はとても美しいものです。
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運河には現在でも水上生活者も多く、その船は浮かぶ住宅の様な形状をしており、植栽を
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植えている船も有りました。また、運河は地盤沈下を防ぐ水位調整にも利用されています。
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街は埋め立てて出来た土地の為平坦で、自転車利用者が多く、専用道路も整備されていて、
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自転車は勿論、ミニバイクもこの専用道を通行します。トラム・車道、自転車専用道、歩道
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の順になっています。自転車専用道だからか、少し危険を感じるスピードですが、、。
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公共の足としてのトラムですが、自転車も載せられる様、低床になっています。
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自転車とトラムで市中はほぼ散策出来ます。このトラムは未来的な形、カラーリング
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ですが、どこが愛嬌があり旧市街ともマッチし街の欠かせない要素になっていました。
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少し足を伸ばせば、ゴッホ美術館、バスタブ状のアムステルダム市立美術館
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レンガ造りのアムステルダム国立美術館がある文教地区も徒歩、自転車移動圏内です。
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他にもリートフェルトのシュレイダー邸、レム・コールハースのユトレヒト、MVRDVの高齢者住宅
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レンゾピアノのサイエンスセンターなど、前衛的な名建築の宝庫でもあります。
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「世界は神が作ったがオランダはオランダ人が作った」と言われる程、開拓と自由の国で
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自由を自己責任で謳歌出来る国です。(日本ではNG,,の範囲も)
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オランダは国土の多くを海を淡水化した後、干拓しているため、地層が軟弱で、その上に砂を
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上乗せした地盤が一般的で、建物地盤としては非常に弱い地域です。アムステルダムの建物はその
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多くが木杭の上に建築されているとされ、杭も古く旧市街では建物が傾いたり、通路が沈下した
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ところが多く見られます。その建物を傾いたまま保存、修復しているのです。
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『地震国日本』では考えられない事ですが、オランダを含むヨーロッパ各国はユーラシアプレートに
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位置し、他のプレートとの接触地点が、遠く離れているという地理的条件も有って、地震に対しての
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意識はそれほど高くない様です。そのためこの様な状態での保存が可能な訳ですが、新築建物も
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『地震力』の制約から解放された自由な形状が非常に新鮮です。
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景観面では全ての建物申請時に景観上のチェックを受けるそうで、それが整った町並み
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を作る要因であるとは思われますが、そこに住まう一人一人の歴史感、景観や安全に対する考え方も大きく作用していると思いました。
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安全と自由、文化と創造を個人の規範で担保するオランダ。規制とモノで安心、安全を担保する日本、これが結果として景観の違いを生んでいる様に感じたオランダ視察でした。
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