住まいづくりはもっと自由に、もっと楽しみながら出来ると私たちは考えています。快適でたのしみのある住まい作りのお手伝い。これが私たち Eee worksの仕事です。
一級建築士事務所 Eee works
『住まいを考える』シリーズ健康な暮らしと住環境自然環境・災害
ジャパンホームショー 工務店未来塾
11月21日 ジャパンホームショー 工務店未来塾
~行政、工務店、設計の視点から見る未来の可能性~
というセッションで登壇させていただきました。パネラーは、三人で
行政の立ち位置から 鳥取県庁の槇原氏
工務店代表 オーガニックスタジオ新潟の相模社長
設計の立場で私 Eee works 日下
そして、ファシリテーターは新建新聞社 三浦社長
共催メーカーとして YKKAP 沢井さん
という布陣です。
当日、ご来場いただいた方、Webでご覧いただいた方ありがとうございました。
さて 当日のセッションですが、私はとても面白かったです。
ご覧いただいた皆様いかがでしたでしょうか。
では、早速!
セッション1は、
『高性能住宅』は差別化になり得るか!です。
なんとも答えに困りますが、
まぁ、、答えに困るようなテーマだからセッションになるとも言えます。
相模さんがセッションテーマの問題提起しそれを受けて
パネラーが意見を言う。というスタイル。
相模さんからの問題提起は、
『高性能住宅で差別化!はもう遅い!』というもの。
断熱・気密・省エネ・構造・劣化対策 家づくりにおいて『性能』と言われるジャンルは
大きく言うと、この分野かなと思います。
しかし、相模さんをはじめとした業界のトップランナーたちは、いい塩梅を既に
自社基準として確立させていて、その上で『暮らし・居心地・佇まい』にフォーカスを当て
PLANに重きを置いています。
私も全くもってその立場で、このColumnでも再三登場しますが、
『性能は手段』という考えです。
その立場から見ると、すでに遅し!なのではないか。という提起です。
ここから、セッションスタートです。
私の回答ですが、『高性能住宅』と言う単一ワードでの差別化は難しい。と答えました。
それは、『高性能住宅』というワードがそれを求める方々に対して既に浸透しているからです。
住まいの性能を大きく見直すムーブメントが起きてすでに10年以上が経ちます。
私も断熱・気密技術を学び始めて、10年以上になり、前述のトップランナーたちは、
すでにいい塩梅に仕上がっている。
では、『高性能住宅』の差別化はないのかというと、そうでも無くて今の状況は
『この性能をこの価格で実現できます!!』と言う状況。
大手HMがスケールメリットを活かし、高性能企画品を大量生産することで、自社規格のみ
安価にできる仕組みが仕上がっています。
まさにこの状況、、
そこに、我々地域事業者が戦いを挑んでも、その先は明白です。
なので、我々にとって『高性能住宅』単一ワードでは差別化は難しい。と言う回答をしました。
しかし、それでは、『で??その先は??』の話なので、私からは、1つ提案をしました。
我々6地域(西日本の太平洋・瀬戸内海沿岸の多くのエリア)特に近畿地方は
晴天率が、60パーセントを超えるエリアになります。
そのエリアにおいて、
『南窓を最大化するエコハウスの定石を見直してみてはどうか』
と言う提案です。
これは、温熱計算を標準化すると、設計者に暖房負荷、冷房負荷の肌感覚が生まれます。
そして、その暖冷房負荷を計算し始めは、多くの方が、エコハウスの常識として、
南面は日射取得窓のため大きく 北面はほぼ塞ぐ。東西はよほど理由がなければ塞ぐ。
これを定石として学びます。
その南窓大開口の日射取得があることを前提に計算をやり続け、そこから導き出された
数値が最適数値として計算するものの肌感覚に置き換わるわけです。
しかし、そうして出来上がった南面大開口は、『冬は優良取得』となりますが
当然夏も日射を取得します。エコハウスの定石では、その夏場の日射は遮蔽する
こととなっています。
夏の対策としてはこれで正しいのですが、日射を遮蔽するために下ろされた外付けブラインド
なり、スクリーンなりその装置により、日射を遮蔽するとともに、
景色も全て遮蔽します。
これが、気になっていました。これが果たして豊かな空間と言えるだろうか。と
熱的環境としても、夏以外の中間期には、取得した日射熱は、躯体に蓄熱されます。
蓄熱した熱は、その後外気温が下がるにつれて、室内に放熱されていきます。
これも中間期における日射取得の弊害と言えると思います。 かなりマニアックな点ですが、
実際起こります。
そこで『北窓』です。
北窓は、南面と違って日射がなく、日射取得しない代わりに遮蔽の必要もありません。
日射がないので、熱が逃げないように可能な限り高性能窓にし断熱強化することで
対策は完了です。
しかし、前述の計算では、北窓は熱ロスとしてのみ計上され温熱計算上プラスには働きません。
これはまずい!と北窓が縮小していく。
これは、計算をやり続けたことの弊害かもしれません。(もちろん計算し続けることは必須です)
しかし、もう一度基本に帰ってみると、全体としての外皮性能が高く、そのリスクとなる北窓を
トリプルガラスにするなど、温熱的配慮をすれば、問題ありません。
その窓からどれくらい熱が逃げるのか それも計算で確認可能です。
計算の本来の効用はこういうところにあるということだと思います。
そして、北窓の最大効果は遮蔽による景色の遮断がありません。
北窓は日射がなく暗くなる。これもありません。
実際先日お引き渡しした
箕面の家では北・東面に大開口を集中させていますが、直射日光は無くとも
1日を通して、およそ1300Lxを安定して確保できています。
一方、南窓は、日射が入れば、10000Lxを超えます。 眩しいのです。
それがない。そして、北窓の先にある庭も綺麗に見えます。しかもずっと。
これは、庭木は日射のある方向に枝葉を伸ばすという特徴に基づきます。
樹木には表と裏があって、枝葉が伸びる方向が表。
常に綺麗な表面を北窓からは眺められることになります。
また、北窓の前のデッキ空間は、自らの建物により日射が遮られるため、
初夏でも明るい日陰空間としてデッキで読書も可能なほど、居心地が良くなります。
こんな効用がたくさんあります。
こんな北窓、いかがでしょうか。 という話をしました。
決して南窓を否定しているわけではありません。しかしノーガードで南面大開口を
推奨するのは危険ですよ。という話でした。
もちろん、北窓の前提として外皮性能はHEAT20 G2以上の性能は必須です。
セッション1はこんな話を中心にお話が盛り上がる。という具合でした
少しでもお役に立っていれば、幸いです。
セッション2の鳥取県の取り組みNE-ST やT-Hasの話は今回ちょっと長くなりすぎたので、
次週に持ち越しします。
今週はこの辺で。
長文お付き合いありがとうございました。
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