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一級建築士事務所 Eee works

Column コラム

『住まいを考える』シリーズ健康な暮らしと住環境家づくりのはじめに自然環境・災害

2024-11-30

Japan Home show 工務店未来塾その2 Column345

JHS 工務店未来塾 session2

去る 11月21日 ジャパンホームショー 工務店未来塾で、

~行政、工務店、設計の視点から見る未来の可能性~ 

というセッションの

前回のセンション1に続き 今回はセッション2について。

 

では早速!

(最初にお断り、、ちょい長めですけどめちゃいい話ですw)

 

セッション2

鳥取県の取り組みから見える住宅業界のこれから!

まずは、前提のお話から

高性能住宅に取り組む事業者 高性能住宅を望む住まい手にとって、

一口に高性能住宅と言っても

どの程度の性能を目指していくことが良いのか?

それに伴う費用は?

事業者としては、その手間は?費用UPをどう考える? などまだまだ

業界全体では多くの建物が”高性能住宅”とは呼べないレベルの建物となっています。

しかし、2025年4月より 省エネ基準義務化 4号特例廃止により

住宅の性能に関するボトム値が底上げされ、それ以下の建物は建てることができなくなります。

その義務化される基準とは、こんな感じです。

1、建物全体の断熱性能の指標である 外皮平均熱韓流率 Ua値の基準

2、冷房期の平均日射熱取得率 ηAc値の基準

3、1次エネルギーの消費性能の基準

大きくは、この3点がこれまでは、

『住まい手にどの程度の性能か説明してくださいね』

という基準

であったものが、2025年4月以降は、基準に適合するか義務化されるというもの。

しかし、これは住まいづくりにおいて最低基準を定めたもので、決してこの基準をクリアすることで

快適な住空間となります!という基準ではありません。

国のロードマップでも、2025年の義務化される基準は、2030年に再び見直し

さらに基準引き上げが見込まれています。

その断熱等級5でようやく温度コントロールができるという基準になります。

先進国を自負する日本において、住環境は、実は欧州、米国、中国など先進各国に対して

非常に低く、中国の最低基準以下というものでした。。。

 

 

しかし、それが義務化されれば、飛躍的に性能向上か!と思われますが、実は

そうでもない。。。という

日本の住まいの性能基準は非常に低い。

ということが前提の話になります。

しかしながら、住まい手の皆様が、住まいに求めるものは、、というよりも

当然満たされていると思っているものは、

『安全で健康的な暮らしができる住まい』

だと思います。しかし基準はそうでもない。

 

じゃあどうする? 

 

そこで鳥取県では国の基準を超える基準を超える基準を鳥取県独自で

定め、その基準を満たした住まいを作るために各種取り組みを行っている。というものです。

前段の話が、長くなりすぎました。。。

 

さて、鳥取県の基準は、NE-ST というもの 

ネクストスタンダードの頭文字をとっているそう

とっとり健康省エネ住宅「NE-ST」。画像提供:鳥取県

 

そのリノベーション版として、ReNE-STというものもある。

その基準は、国のに基準に当てはまると、

国の断熱性能の適合義務基準

 断熱等級4NE-STの推奨基準T-G2=断熱等級6

とその差は歴然。まぁ、義務と推奨では、話が違うと思われるかもしれませんが、

鳥取県の凄いところはここからです。

制度・基準の説明をしてくださったのは

鳥取県庁 住宅政策課 槇原さん

NE-STの基準はこちらからご覧ください。

Click☝️

NE-STの取り組みその先にあるT-Hasの制度・基準の説明を聞いていると、鳥取県が

本気で、住まいの性能を上げるために取り組み

制度は目的ではなく手段であり、

『安全で健康的に暮らせる住まい』

をゴールとして、しっかり見据えているなぁと感じます。

ということで、提起というよりは、制度・基準の基準を説明くださったお話でした。

 

ここから、セッションスタートです。

私の方からは、このNE-STについて 私の理解4点の話をさせていただきました。

1、NE-STの基準にUa値だけでなく、C値を加えた点

2、Ua値の推奨基準をT-G2(断熱等級6)とした点

3、補助金最大250万円

4、既存高性能住宅も証明制度でT-Hasに紐づけている点

要するに、

 

『高性能住宅を目指す人を誰も取り残さず、誘導する制度』だと思います。

まず、住まい手目線で制度を見た時、この基準を推奨する団体が、鳥取県であること。

これは、大きいと思います。

鳥取県のお墨付き!の基準で、その設計・施工に携われる人は、鳥取県が認証した

設計者・施工者である。しかも、国の義務化の最低基準よりもはるかに高水準

そして、補助金も出る。 こうなれば、

是非とも取り組んでほしい、できる方にお願いしたい!

となると思います。

そして、我々実務者側にとっては、

基準にUa値に加えてC値を加えた点が実によくできた点だと感心しました。

Ua値というのは、高いことに越したことはないですが、あくまで色々な部材の平均値を

示した数値になります。極端に言えば、面積の多い外壁の性能を少し上げれば、窓の性能は

低いままでも、平均では基準クリアということも可能です。

設計段階で、部材選定の段階で答えが出ます。

しかしそれでは、現場制度が担保できない。住まいの性能はどちらか極論すると、設計ではなく

施工の方が重要です。

その点C値は現場精度を測る基準です。隙間を少なくした成果がそのまま数値に現れます。

C値は設計ではなく、計測によってのみ出る数値です。その数値を基準に盛り込んだ点が、

住まいの最終的な快適性に繋がることを理解した制度といえます。

しかも、気密工事に初めて取り組む事業者さんに対しては、気密試験で基準1㎠/㎡に満たない場合

県庁職員さんが現場に確認に赴き、改善点を一緒に探すというのです。

こんなこと、聞いたことがありません

本気で、高性能住宅に取り組む姿勢がここでも現れています。

また、そうして出来上がった住まいの将来についても考えられています。

それがT-Has

これは、『建築・不動産・金融』の協業制度です。

高性能住宅は、これまでの住宅よりも少々費用がかかります。それに対して補助金も用意

されていますが、大きな視点で見た時、その高性能住宅が、30年後の将来

適切に維持管理されたものであれば、不動産価値を見出せないか。というものです。

 

これは、高性能住宅に取り組む我々の長きにわたる大きなテーマです。

現場の高性能住宅を作る動機は、意欲高い施主・施工者の頑張りによるところが大きい

という現状があります。

住宅ローンにも、住まいの性能について担保評価する制度は、ほぼありません。

そこに切り込む制度です。

これが実現できれば、高性能住宅が性能に応じて先々で中古高性能住宅として価値が生まれる。

ということになります。

新築時設定したローンが、何らかの理由により売買する際に、建物と共に引き継げる。

建物の性能に担保価値が生まれるということは世代をまたぐローンも可能になります。

 

これは、日本の住まいの常識である 新築住宅を35年ローンを組み先で売買する際には、

建物担保価値は”0” 解体してまた新築35年ローンという

いわゆる『住宅貧乏』

解消する可能性のある、素晴らしい制度です。

ということで、本当に素晴らしい制度なんですが、皆様も、お気づきの通り 

 

 

これ、、、、

鳥取県だけの制度 なんです。。。

完全な恨み節ですが、、笑、、

 

我々近畿圏にこの制度は残念ながらありません。。

しかし、

この制度が全国に広がれば、本当に日本の住まいの性能は大幅に上昇し

健康リスクも減り、地域事業者含め皆がハッピーになる制度だと、思います。

 

実際、鳥取県の槇原さんはこの制度について全国で講演し国交省とも意見交換をされています。

私も実務者の一人として、この取り組みを支持したいと思います。

 

今は、

鳥取県だけのこのNE-STを

全国に広めたいと

本気で思います。

 

 

 

 

長文お付き合いありがとうございました。

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