全国削ろう会　大阪交野大会

削ろう会　気を削るかんなでいかに薄く削れるかを競う全国大会が

大阪・交野市で開催されるということで、ご近所開催なので、初めて行ってみました。

私は、職人家系で小さい頃から少しばかり大工道具や、電動工具に触ってきたこともあり、

そして何より、好きなんでしょうね。　行ってみてワクワクしました。

削ろう会　会場の駐車場には全国から参加者なのか、出展者でしょうか県外ナンバーが

並んでいます。

聞くと、日頃大工や宮大工としてかんなを日常的に使っている人。

普段の仕事ではかんなの登場は多くなく、しかし大工の心を持ち続けたい人。

『削る』を競技として楽しんでいる人。

大工技能の専門学校に通う人。

本当に様々な人が『けずる』という一点で全国から集まって競技をしています。

競う内容が単純明快で己との勝負！という側面もあって、会場はめちゃ『熱い！』

熱気がすごかったです。

もちろん日々の現場や、取り巻く環境は決して甘くはないけれども、こんな熱い人たちが

この『熱苦しさ』笑　を持って関わった建築は、とてもいいものになるなぁと

削る真剣な横顔を見ながら思っていました。

そして、今回のお目当ての一つが、大工道具

ホームセンターや、近所のプロ用の金物店でもなかなか扱っていない

『こてのみ』

これが、あるのでは？という期待を持って行ってみました。

のみもかんなも日本は独自の２層構造『鍛造（たんぞう）』という製法で刃物を作っています。

柔らかいベースの鉄に硬く木を削るための鋼（はがね）を1300度に熱した状態で

くっつけて叩く。鍛冶屋さんの作業で真っ赤に熱した鉄をハンマーで叩く。

これが　鍛造（たんぞう）

台座となる柔らかい鉄は『錬鉄』と言って今では生成できない鉄らしく100年前に

イギリスで作った橋脚や、鉄道のレールを再利用して素材としているらしいです。

鉄の中に多くに気泡があり、その気泡が柔らかさ＝しなやかさ　を出すとのこと。　

刃物として切れ味を出す部分は、『はがね』という固い鉄が使われていて

この鋼も色々で、最も有名なものは『玉鋼（たまはがね）』ではないでしょうか。

NHKスペシャルでも特集されていましたが、

伝統製法『たたら製鉄』

という技法でつくられ、日本刀を作る鉄としてつくられたものらしいです。

この玉鋼は日本刀専用とのことなので、かんなには使われていないと思いますが、

錬鉄という柔らかい鉄とこの固い鋼の２層構造で刃物はできている。ということです。

その２層構造の刃物を扱う金物屋さんがたくさん出店していました。

木又工務店の木又さん　プロの解説付きで店を回って行きました。

『これは我々大工ががっんばった先に買う目標の様な刃物ですわ』

『これは古道具やけど、刃物は一生もんやからこれを研いで加工して使ったりします』

などなど、やっぱりプロの解説付きはよくわかります。

木又さんありがとう！

さて、店先の刃物。ホームセンターで並んでいるものとはその佇まいが、全く違います。

そして店主もひとくさりありそうな方ばかりで、見る側も真剣になってきます。

結果、色々と刃物、金槌、砥石と大工修行一年生セットの様な品揃えとなりました。

期待していた、『こてのみ』は今回出会いがありませんでしたが、

今回の刃物とまずはじっくり付き合ってみたいと思います。

一人前の日曜大工になるには、何年修行がいることやら。。w

さて、これら伝統製法で作られる鍛造の刃物は減少傾向にあります。

それを作ることができる鍛冶屋さんは全国でもどんどん減少しているらしく

この状況は、建築業界の大工不足と同じ状況です。

プレカットに始まり、手仕事なく建築が出来上がっていく時代。

これからそれを一気に戻す子は難しくなると思います。

店先に並ぶ刃物も、その工程を考えれば、決して高いものではなくむしろ安いと感じる

ものばかりです。

これも需要によって決まった費用感なんだろうなと、最近の米農家離れと同じ状況を

想像してしまいます。

木造建築に設計者として関わっていますが、同じ建築人として

一つ一つ製材して創る家　の価値と手仕事の価値を改めて感じる機会でした。

そして、もう一つ嬉しい状況も。

木又工務店も出展していた　木造のジャングルジム　『くむんだー』という

団体があり、そこに所属している関連での出展とのこと。

おとづれた時にはひと盛り上がりの後の様子でしたが、

組み始めた時は、子供が大勢集まってかなりの熱気だったとのこと。

木のトンカチでぬきを打ち組み上げる木のジャングルジム　これに触れて、

あー、建築面白いやん！　大工やってみたい！設計がいいなー！と思ってくれる

ちびっ子がいてくれたらいいなぁと思います。

子供の笑顔は清々しい。

日曜大工修行一年生　まずは刃物研ぎから頑張ります。

長文お付き合いありがとうございました。

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