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住まいづくりはもっと自由に、もっと楽しみながら出来ると私たちは考えています。快適でたのしみのある住まい作りのお手伝い。これが私たち Eee worksの仕事です。

一級建築士事務所 Eee works

Column コラム

『住まいを考える』シリーズ住まいのエネルギー健康な暮らしと住環境植栽・外構計画

2023-05-27

完成 千里山の家 Column270

千里山の家

昼食を終え、午後からの進行中の別案件の打ち合わせの準備を整えて、

『住まい手さん。そろそろいらっしゃるかな』

と思って一息ついたときに 

いただいたお電話。

それが最初でした。

 

電話の先の住まい手は、ある程度進んだ別の設計事務所との打ち合わせに向かう道中、

『その計画をこのまま進めて良いものか。』

むくむくと湧いてきた違和感をどうしても払拭できず、明快な答えを求めお電話をいただいたとのことでした。

 

時節は、直接対面で打ち合わせをすることを避ける時期の入り口で、リモート打ち合わせも併用しながら打ち合わせの常識が変わりつつある時期でした。

 

建築系のYouTubeが活況

となり様々なコンテンツが、無料で視聴でき住まい手が意思を持って学び始めた頃でした。

住まい手が私たちに相談された違和感は主に次のものだったと記憶しています。

 

・構造を健全なもの(耐震等級3)とすると計画がつまらなくなるのか。

・断熱性能を上げると、壁が分厚くなりフォルムが悪くなるのか。

・そもそも、住宅にそれほどの耐震性も断熱性も必要ないといわれるが、、、。

 

およそこの様な内容だったかと思います。

意匠か性能か?

意匠か構造か?

 

伊礼先生や堀部先生をはじめ、住宅作家と言われる諸先輩が、当たり前に基本性能を上げた

今にして思えば、なんとも閉口、、。

と思いますが、当時は『まだそんな見解もあるか。』と思った内容でした。

 

そのお電話での私の答えは、

1構造を健全なもの(耐震等級3)とすると計画がつまらなくなる。

 ↑計画が詰まるつまらないの以前に住まいという構造体が安全・健全に成立することは、必須で、その上で計画の良し悪しを語るべきで、ブレーキはないがかっこいい車が成立しないのと同義だと思います。

  また、構造を理解し積極的に活用することで、自由な空間を構造的に安全に作ることができる。

  

2断熱性能を上げると、壁が分厚くなりフォルムが悪くなる。

 ↑意匠設計者は例えば、先端が薄くシャープなものを求めるとき、構造的な問題や、先々の劣化を無視して、今だけの美しさを追求し、材料を薄くする。

と言う思考の方と、各種健全性を考慮して材料の寸法を設定し、それをいかに薄く見せるか。その点において徹底的に研究し、努力する。

その2者がいます。建築家の先輩方から、その薄く見せる『手法』を学び技術として受け継いでいく。私は、後者の事務所で学びました。

その立場からすると、厚くなり不恰好。。なら、薄く見せる様工夫すれば良い。

それだけのことだと思います。

3そもそも、住宅にそれほどの耐震性も断熱性も必要ない。

 これもよく聞く話で、

『ここは大阪。暖かい。それほどの断熱性や樹脂窓の話は北海道の仕様で大阪ではそんな仕様は必要ない、、。』

これは実際にとある工務店の社長に言われた話ですが、その社長は、冬の晴れた日の室内でダウンベストを着ていました。

当たり前ですが、『大阪も冬は寒いです。』氷点下になる日もあるし、私の出身地香川県も大阪とおなじ瀬戸内気候の温暖なエリアで私の記憶では、雪が積もり昼頃まで残った日は、数日。

そんなエリアです。

しかしヒートショックにより命を落とされる方は、

残念ながら、香川県が日本一です。

冬、室温が10℃を下回り、石油ファンヒーターを30分も稼働したのちでなければ、朝の身支度ができない様な空間が寒くないわけがないのです。

WHO(世界保健機構)

2018年に「住まいと健康に関するガイドライン」として

「寒い時期の室温は18度以上」

という基準を提唱しています。

 

世界のスタンダードは、この様に進化しているわけですが、日本では日常的に冬の無暖房室は石油ファンヒーターを2機掛け。

寒すぎる室内。。

まだまだそのレベルです。

 

その様な状況が、当たり前ではなく建築の方法により低温環境を変えることが可能である。との内容を同音異語で住宅系YouTuberから視聴し学んだ住まい手に

・それは不要

・それは不恰好になる

ほんまですか、、、、。

などと、諭したところで、どうにもならない。。まさに、『真実がバレてしまいました。。』と言う状況です。私たちの事務所で、計画が進みはじめた頃お聞きした

『なぜEeeworksへ?』のきっかけエピソードです。

さてここから ヒアリング・ラフプランと進んでいくわけですが、

まず

計画地はこちら

道路は北側、東西は2階建(東は計画済みで着工待ち)南は、3階建の集合住宅。

という敷地です。市街地の計画地では、そう珍しい敷地ではありません。

しかし、『日射取得』の重要性を太陽光発電の有効性を

学んでしまった、知ってしまった、

住まい手は

知ってしまったしなぁ。。。。

南側に3階建の集合住宅が建つこの敷地で、温度変化のない、日射が十分に取り入れることのできる住まいが計画できるのか。。こう悩んでおられました。

 

また、

住まい手のご要望は、南側に集合住宅があるこの立地では、2階リビングが順当だと見聞きするが、1階リビングを作りたい!

 

南面に3階建の集合住宅があっても1階のリビングに光を取り込むことは可能か。

加えて多子世帯でいらっしゃることから、子供部屋の考え方。など、など。

 

それらを踏まえて

私が、そのご要望と敷地を見た上で、作成したラフプラン模型がこちら。

ラフプラン模型

南面の集合住宅はどうしようもない。

その建物の さらに上部の南面とやや西面ではあるが、その一部からも取り込める日射はある。

 

既存の状況を否定しても始まらないので、その状況を肯定的に受け入れ、

そこでできる最大限を考える。

ここが全てのスタートです。

完成形!!

その日射を連装の窓から室内に取り込み、吹き抜け空間を光庭の様に見立て、室内で反射させた

光と熱を住まい全体に送り込む。

この様な考え方をカタチにまとめました。

レフ板効果 のように!

これまでも、光・熱の取り方を窓を直射日光に向けて設置しダイレクトに日射を受ける。

という方法が叶わない場合、『バウンド=反射』はよく使ってきた方法です。

直射日光は、眩しい!

むしろ、直接日射を窓から取り入れるよりも、この反射を使った方が、眩しくなく照度が一定に保つことができ、室内環境は安定するため、私たちの設計では積極的に使っている方法です。

ちなみに、太陽が雲で隠れた日も日中明るいのは、この『反射』によるもので、

明るさの指標である『照度』も太陽光が直接当たる明るさは、除いた数値が使われています。

思考錯誤の結果が現れた、切り貼りしたスチロール模型

プランを一通りご説明した後、

『求めていたものはこれです!

これで建ててください』

 

とおっしゃっていただいたこと、とてもよく覚えています。

細かく設計を進めていきましたが、本当にそのカタチのまま大きく変わることなく、設計は進んでいきました。

実施設計をまとめて、見積もり調整ののち、無事着工です。

地鎮祭

今回の施工パートナーは、東大阪の

大幸綜合建設株式会社 Daiko Style

担当は、西田さん 大工さんは浅井さん

今回初めての取り組みでしたが、西田さん・大工の浅井さん 本当にお世話になりました。

 

これまでも高性能住宅を手掛けてこられたコンビで、気密・断熱のキモは独自にお持ちでしたのでその点に関しては、安心してお任せできるパートナーでした。

基礎工程は順調に終了しましたが、コンクリート打ちの後、養生と言ってコンクリートの中の水分が、程よいスピードで抜けていく様、暑い時期は、水まきをしながら管理していきます。

 

また、雨に打たれると、コンクリートの表面が荒れるため、コンクリート打ちの後、シートをかけて養生することもあります。

その際、コンクリートが高温を発していて、

『基礎がものすごく熱くなっています!大丈夫でしょうか!!』とご連絡を頂き、

パッリパリ(あくまでイメージです。w)

『え??そんなにですか?』との話をしましたが、

もちろんコンクリートは、硬化中に発熱しますので、問題ないのですが

 

そんなエピソードもありました。

住まいづくりは、多くの方が、初めてのこと。

わからないことを素直に聞いてくださる。楽しんでくださるこの様子は、我々作り手にとっても大変嬉しく、楽しく現場は進んでいきます。

いよいよ建て方を迎え昨夜まで、基礎だけだった、敷地に一気に模型で見た立体が立ち上がります。1日にして、立ち上がるので、大工さんも応援含め複数体制で臨みます。

 

私も、設計との整合確認のため、この日ばかりはほぼ現場にいることが多く、

楽しみと緊張がないまぜになる1日です。

祝・上棟!

無事、上棟し何よりです。おめでとうございます。

こちらは、建物の最上部 南北に窓があり、この建物の明るさを担保するために非常に大切な窓です。

この窓から取り入れた光と熱を吹き抜けを介して1階まで送り届けます。

ただ、自然に熱気は下がっていかないため、サーキュレーターを使って強制的に押し下げていきます。

6連窓

そして、もう一つ。この建物のハイライト6連装の窓です。この窓は、住まい手との話で特にこだわりを持って設計した部分です。

『小平の家』からスタートした連想窓のシリーズを気に入っていただき、ぜひ取り入れたい!とのご要望から、ここで採用することが最もふさわしい。との話も相まって

上部の南北の窓とこの6連窓で、『光庭』を作りました。

小平の家はこちら

👆click

 

ただ、施工的には、この状態でも気密を取ることは必須なので、難易度は高く、

西田さん・大工の浅井さんと詳細図を何枚も描き打ち合わせを重ね

 

我々としても、努力の結晶の様な連想窓です。西田さん浅井さんには感謝しかありません。

外壁検討も、実際の塗材を塗装し、何日か干し『これしかない!』と思えるまで検討し


決定!!

 

これら多くの決定が、『住まい手・設計・作り手』この3者の話し合いによって進みました。

その過程が本当に楽しく『創っている』との実感を持って進んだ現場だったと思います。

そんな現場は、例によってお引き渡しがとても寂しく後ろ髪引かれるほどでしたが、

養生が取れた住まいに住まい手をご案内した時に、感動くださり言葉少なにしみじみと各所見て回ってくださったことは、私も西田さんもそれまでの苦労が報われる瞬間でした。

 

1年くらい経った頃、新たに竣工した住まいをご覧いただきました。

帰宅後、頂いたメッセージに、

『やっぱり、私たちの家が一番いい!』

との言葉は、とても嬉しく、励みになりました。

 

また、コツコツ進んでいきます。ありがとうございました。

 

また、長編お付き合いありがとうございました。

 

長文お付き合いありがとうございました。

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